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執筆者の写真kisopaintings

別の道

かつて作品のリサーチのために自分の生まれ育った東京渋谷の歴史について調べる中で、ジャニー喜多川が戦後の占領期にGHQとして来日したことを知ったのだった。彼は美少年に声をかけて野球チームを作ることから始めた。占領が明けた後も彼は日本に残り占領を続けたのだ。

たった7年間の占領期だが、70年以上経った今もその呪縛から逃れられずにいることに戦慄する。それは占領軍が植え付けた自虐史観の洗脳が解けないままの自称リベラリストやメディアの姿を見ても思う。本人たちは反米だ反安保だと闘ったつもりでいるぶん闇が深い。

もともと諦めが早いというか、変わり身の早い国民性ではあるのかもしれない。空気にのまれやすく、この道しかないと一本の道を示されれば疑うことなく足を踏みだしてしまいがちだ。

ファッションを作品として扱うにあたり今回あれこれリサーチをしたのだが、驚いたことに明治維新後の明治5年には洋装を礼服として着用し、和服を廃する制定がなされている。5年前には誰一人着ていなかった服をだ。しかもこの時は占領されたわけでもない。

世界には長期に渡り占領され植民地化された国がものすごいあるわけだが、例えばサミットなどの首脳が集まる場で軒並みスーツ姿の中におけるインドのモディ首相を見ると文化的抵抗のような矜持を感じることができる。もはやそのような矜持は私たちにないのだろうか。


ファッションショー「neo farm style」は9月16日16時にスタートします。

作品コンセプトの一つに「バイパス」を掲げ、目の前に伸びる広い一本の道に疑問を抱き、別の可能性に思いを巡らす未来の農夫たちの姿を描きたいと思う。

まさに時代は岐路にさしかかっていて、そんな時代ほどわかりやすい方に流れていくものだ。しっかりと自分の目と実感を元に足を踏み出したいものである。


岩熊力也

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